風が吹いた春が

新型コロナが流行り出してからというもの、テレビやツイッターをあまり開かないようにしている。

ちょっと前から、なにをするでもなく漫然と過ごす時間がもったいないなって思いはあったんだけど、最近は目に入る情報がどれもしんどいものばかりで、改めて距離を置かないとやってらんないのである。

いい機会なので、毎日眺めているコルクボードに1枚のメモを貼った。

「自分のために 時間をつかおう」

人の性格が表れる場面ってありますよね。

それは例えば、言葉の通じない国へ旅行をする時だったり、大病をした時だったり、セックスをする時なりで…、今回の新型コロナへの反応もまた、周りの人の性格を垣間見ることになったと思う。

過度に不安がる人もいれば、楽観的すぎる人もいて、何かに文句を言いがちになることもあれば、もくもくと自分を安心させるための行動を取っていたり。

だからまあ、これを機に身近な人の性格が知れましたね。いい面も嫌な面も見えたところで、付き合い方を考えましょう。。。なんて風なことを考えて終わりにも出来ちゃうんだけどさ、これって一歩引いて観察だとか分析みたいなことをして気を紛らわせているだけで、自分自身では結局なにも考えを持っていないんだよね。

今、おれは一体なにを感じているんだろう。

そんなことも分からないまま、テレビとかツイッターを見て「この人またこんなこと言ってら」と、ニヤニヤとせせら笑っていた。ちょっと薄気味悪くなった。なので、画面を消した。これがおれの性格か。

ぼんやりと知らない人の言葉を浴びるのを控えて、代わりに知っている人との会話を大切にしなきゃなと思っている。

今日もリモートワークとは程遠い職場に出勤したし、おまけに年度初めだから人も入れ替わっている。なので、手の届く範囲での会話をいっぱいしている。濃厚接触じゃん。

こんなとき、現実で誰かとする会話って深刻すぎる気分にならなくて安心してしまう。実務的な話も、昼ごはんの話も、新人さんが書かなきゃいけない書類が多すぎる話も、純粋に湧いてくる笑顔で話せるし、それがなんだか普段より嬉しい。

友達とのラインにしたってそうだ。「こないだ車で流してた曲ってなんてやつ？」とかって関係ない話ばかりしているし、ツイッターにはとても出せない不謹慎なジョークが出ることだってある。

でもまあ、そういうのに気を回すのも当たり前だよな。芸能人とか政治家がテレビの向こうの何万人に何を話しているかとか、自分がツイッターのフォロワー250人くらいに何を話そうかとか、それに気を取られ過ぎて、1対1の話に気後れしちゃうのはもったいない。ややもすれば失礼だ。

いろいろな物事が制限されることにより、自分が求めているものが見えてきた。

外出自粛が出てたことによって、いろんな予定が流れた。とはいえ、予定があった場所とか用事を、全部自分が求めていたものかは微妙だし、生み出された時間でやりたいこともいろいろと思い浮かんだ。テレビやツイッターは見なくてもよかったものだったし、感性が合う人とくだらないおしゃべりをして過ごしたい気持ちが強くなった。

けれど、この個人的な意識の変化が自発的なものじゃなくて、社会的な大混乱から引き起こされていることが、なんだか受け身すぎて情けなくなってしまった。新型コロナが無くても、おれは別の理由で意識が変えることがあったんだろうか。自発的に自分を変えることに、せっせと取り組めるんだろうか。

な～んてまた、過度な分析に頭を浸らせている。ラクチン。そうじゃなくてさ、状況分析だけで満足してしまうのは止めにしようぜ。明日の仕事上がりは、今度の休みは、きっとやりたいことをするんだよ。

ここまで読んでくれた人にこっそり話したいんだけど、実はこないだフラれちゃったんですよね。

けどなんか、相手と一緒に過ごして積み上げた好意とは別に、自分の中で勝手に膨らました相手の幻想に執着していたような気がする。ちょっと自分がおかしくなってた。

何か原因があったとしても、それについて想像で物事を大きくさせて、冷静さを失うのはこわい。もしまたそんなことがあったら、おれは自分に言い聞かせたいのだ。

「自分のために 時間をつかおう」