2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

繰り返される諸行無常

「繰り返される諸行無常 よみがえる性的衝動」 向井秀徳が曲中やライブで頻繁に発するこのフレーズ。最初に使われた曲もあるにはあるけれど、あまりに多用されすぎているために、特定の歌詞というより向井秀徳を象徴するフレーズとして人々に定着している。…

もう一段階深く想像ができれば、 この人はあらゆることに納得できるのに。 *** かれが弱っている人の話をよく聞くのは、 結局は自分の好奇心を満たすためなのか。 *** 長きにわたって誰かを見つめているうち、その人の思考にある枠の強固さを思うこと…

藍より青くなる頃

おれがクロスバイクに乗るようになったのは、前に一緒に仕事をしていた上長のすすめだった。当時、ドンキで買ったやっすいちっちゃい自転車で出勤時刻ギリギリに爆走してくるおれを見かねて、「きみはもっといい自転車を買った方がいい」と言ってくれたのだ…

権威からの逃走

使いたくないけれど、つい口をついて出てしまう表現に「普通は~」というものがある。「まあ普通はああするべきだと思うんだけどさ」「おれも普通にあっちを選んだけどさ」なんて、それこそ普通にありふれた言い回しではあるのだけど、どうしてわざわざ「普…

つながりたい

もし、何らかの事情で余暇として使える時間が無くなってしまうとしたら、自分は何を恐れるのだろう。 原因はなんだっていいし、なんだってある。家族の世話をする必要が出てきた。ハードな職場に移ることになった。自分の身に深刻な問題が発生した…。そんな…

純度

もう10人とかそれ以上の人数が集まる飲み会に行かなくなって、どれくらいの時間が経つのだろう。 単に新型コロナの流行で一気に大人数の飲み会の機会が減ったのかしら?なんて思いつつ、たぶん何事もなくともそういう場からは遠のいていったようにも思う。実…

ぶらり独裁者

理想的な政治体制とは、誰の不満も生まない為政者による独裁だという話を聞いたことがある。 多くの意見を調整するコストは膨大なもの。議論のために費やされる時間や、紛れ込む無駄な支出、さらには正しい少数の意見が間違った多数の意見によって塗りつぶさ…

ここにゲイがいるぞ

「ここにゲイがいるぞ!」 自分が子どもの頃の教室では、男子同士がふざけてじゃれ合っているとこんな揶揄が飛んできたものだ。じゃれ合っている方も、同性同士で身体的に密着することで笑いが取れると思っている。当時はテレビをつけても同性愛者と言えば嘲…

一方的な愛

「バンドをやってる人ってモテるんですか?」と聞かれることがままある。 まあ照明を浴びて人前に立って、少なくとも自分ではカッコいいと思えることを披露しているので、魅力的に見える機会は多いのかも知れませんねえ。などと考えてみたりもしつつ、実際に…

余白がつなぐ仲

Netflixで配信されている「LIGHT HOUSE」という番組の空気感に憧れを抱いている。 星野源と若林正恭のふたりが出演するトーク番組。30分ほどの放送時間は終始ふたりのトークで、これまでの過去の話や、現在の創作にたいする思い、さらには街頭インタビューの…

それでも行為が好き

今回のエッセイ集もこれで20本目。残すところ10本である。 やる気がわいてきたタイミングでエイヤッサと腰を上げ、パソコンに向かいパタパタとキーボードを打つ。まあいつも軽快に文章が進むわけではないけれど、小一時間も格闘すればひとかどの読み物が出来…

よびみず

ずーっと趣味に生きていたいなんてことを、ずーっと考え続けている。 学生の頃、結局やりたい仕事も思いつかなかったけど将来のために努力をしたい気持ちはあって、就職のためにそこそこ努力をした。そのかいあってか、結果的には安定して趣味を続けられそう…

期待しないなんてね

「他人に期待しない」なんてフレーズを目にするようになってから早幾年。みんなどんなふうにこの考え方をモノにしていったのだろう。 他人への期待について云々という話題になるときは、えてして周囲の人が自分の思うとおりに動いてくれない状況や、それによ…

不殺の剣を磨く

刃物で作った傷を思い出すことはそうないのに、言葉で作った傷はずっと頭から消えないのはどうしてだろう。 幸いなことに、おれは誰かから言われて傷ついたひとことを思い出すことはそんなにない。そのかわり、自分のひとことが誰かを傷つけた記憶はしっかり…

かわりもの

一緒に仕事をしているおばちゃんと出かけた寄席で、立川吉笑さんの「ぷるぷる」という演目を観ることがあった。 題材はご隠居さんと若者の会話というよくあるものだけど、特徴はこの若者が松ヤニをなめて唇の震えが止まらない設定であるということ。そんな姿…

連休連休なに食べよう

はいはいどうも、今日もお疲れ様でした。 おれは5日間の勤務を終わらせて、明日から三連休が待っている。そのうえ、今回は予定の入り具合が絶妙にほどよい感じ! 連休そのものはありがたいことにちょくちょく頂いているけれど、最近は泊まりがけアンド早朝発…

子を育てない自分には

子を育てない自分には、30代以降どう生きていこうかというロールモデルがなかなか見つからない。 シングルでのびのびと生きる芸能人やアーティストのような形から、ささやかながら日々を着実に生きている人生の先輩たちの姿まで、選べる生き方は途方もなく広…

知と怒り

いつの頃だったか、もっと多くの物事を知れば他者にたいして憤ることが少なくなるのではと考えていた時期があった。 どちらかというと内向的で友達が少なかったのは子どもの頃くらいで、やがてそれなりに人付き合いが多い方になった。日々代わる代わる人が現…

好きに理由がないのなら

服装や髪型に気をつける、相手の話を丁寧に聴く、何か気の利いたプレゼントをする…誰かに好意を持ってもらうために推奨される行動といったら、おおむねこんなところだろうか。その相手はというと恋愛がらみのことが真っ先に頭に浮かんでしまうけれど、これか…

お餞別

もうお別れという人に、とっておきのお菓子をあげた。 この人がどんな場所にいくのか、おれはよく知らない。 けれども、もし甘いものが満足に食べられない場所だったらどうしよう。どこかにあったとしても、そのありかを見つけるまでに時間がかかってしまう…

正しくあるとは贅沢なのか

大きな駅ビルや商業施設に行くとき、あなたはとあるテナントに足を踏み入れる。 清潔で広々とした店内にはさまざまなデザインの服が並べられている。よく見かけるような無地のTシャツやスラックスはもちろん、ビッグシルエットやバンドカラーといった一癖あ…

友達に口をふさがれた日

ああ、この話題は話しちゃいけないんだな。 そんなふうに、隠れて肩を落としたいくつかの話。 ここ数年、LGBT当事者としてなんとか前進してほしいと願っている運動がたくさんある。同性婚の法制化であったり、ときどきで見かける差別的取り扱いからの保護、…

イニシェリン島の精霊

気が弱くてお人よし、ちょっとお調子者な面を持ちつつ周囲の人を愛して暮らす人がいたとする。きっと、自分の周囲にいたら好意的な印象を持つだろうし、長い付き合いになることを願ったりもするかもしれない。もっと言えば、自分自身が憧れる人間性のひとつ…

同じになれなかったおれたちは

この人とはぴったり考えが同じだな、なんて感覚っていったいどんな感じなんだろう。 一緒にいれば同じものに関心が向いて、同じことに笑ったり驚いたりして、次の休みにやりたいこともその先の大きな休みにやりたいことも一緒。そんな人と出会えたら、この人…

本音

周囲にいる人が何かを抱え込んでいるとき、どんな行動を取ればその人の助けになるのだろうか。 なんだか道徳の教科書に載ってそうな問いだわねえ。 道徳の教科書って学校を卒業してから読んでないのだけど、ひとつひとつの問いにたいする模範解答は用意され…

既読スルーの向こうに

用件が済んで少し雑談めいたことを送って、やがてやり取りは既読がついておしまいになる。歯切れの悪いメッセージのやりとり。送ったメッセージにリアクションがないことも、あるいは誰かからのメッセージを返さないままになることも、自分にとっては日常に…

定時退勤

窓の外に見える建物の影が長く伸び、最後に淹れたコーヒーを飲み切る頃。少し遠くの席から「お先に失礼しま~す」という声が届いてくる。今日も無事、勤務時間の終わりを迎えたようだ。 あいにくおれは仕事の進め方が達者ではなく、まだ帰るには区切りがよく…

完成せずとも〆切は来る

バンド活動とはそれすなわち、締め切りを抱え続けるということである。 次のバンド練習までに曲を覚え、覚えたと思ったら次の曲を覚える。スタジオで浮かんだ反省があれば、次の練習までにどう演奏に生かそうか考える。練習の先にはライブなりレコーディング…

ルーティンでととのう

もう数年来にわたって、ちょっとした日誌をつけている。 日誌といっても、その日の出来事と食べたもの、あと誰と会ったかをつらつらと記録するだけ。感想も書きたいときは書くけど、だいたいは出来事だけを列挙している。なんならエクセルでまとめてるくらい…

夏の終わり

「今年の猛暑日の日数が、過去最多を記録しました!」 テレビに映るアナウンサーが興奮ぎみに、今年の異常な暑さをアピールしている。よく晴れた夏休みの昼前、もう今年の猛暑日の打ち止めが近いことに思いを馳せる。 気がついてみれば、今年の夏は興奮の連…