とても有名な物語より


おれの目から見ると、あんたはまだ、
ほかの十万もの男の子とべつに変わりない男の子なのさ。
だからおれは、あんたがいなくたっていいんだ。
あんたもやっぱりおれがいなくたっていいんだ。

 

だけど、あんたがおれと仲良くなると、
おれたちはもうお互いに離れられなくなるよ。
あんたはおれにとって、この世でたったひとりの人になるし、
おれはあんたにとって、かけがえのないものになるんだよ

 

「でも、どうしたらいいの?」と、王子さまがいいました

 

「辛抱が大事だよ」
最初は、おれから少し離れて
こんなふうに草の中にすわるんだ。
おれは、あんたを横目でみる
あんたはなんにもいわない
それも言葉っていうやつが、勘ちがいのもとだからだよ

 

一日一日とたってゆくうちに、
あんたはだんだんと
近いところへきて座れるようになるんだ

 

ー狐と王子様の会話より。