ストラトキャスター

 初めて出会ったストラトキャスター使いの名手は、ギターフリークスドラムマニアシリーズで曲を制作していた泉陸奥彦さんだった。

 

 ゲームの特性上、音楽にもエレキギターがふんだんに使われ、スタッフにも個性的なギタリストが揃っていた。その中で泉さんのギターは、速弾きと大胆なアーミング、そして泣きのチョーキングをふんだんに取り入れた、ハードロックに根差したスタイルが特徴だった。それでいて、よく曲を聴き込んでみると、透き通るような音色でのカッティングも多く取り入れられている。カッティングといえばテレキャスターのそれもよいのだけど、ストラトのほうが角が取れた感じがして好き。もちろん、歪みの効いたリフもたくさん。リフ主体のメドレーがあったくらいだ。

 

 いま挙げた要素が詰まった曲として、NO MORE CRYINGという曲を思い出す。単音リフで始まり、カッティング主体のバッキング、甘く繊細な音色でスリリングなフレーズが展開するソロ。思えば、こういった楽曲群に触れて、ストラトが持つポテンシャルを知れたのが、エレキギターの音が好きで居られている下地にあると思う。数少ないライブや演奏の動画や、ストラトを華麗に弾きこなす泉さんの姿には、今でも憧れる。

 

 ***

 

 その次にハマったのは、Pink Floydのディヴィド・ギルモアのプレイ。Comfortably Numbの長尺のギターソロで聴ける、とろけるような音作りと、ゆっくりと展開していくフレーズにすっかり魅了されてしまった。繊細だけど芯があって、太さよりふくよかさを感じる音。

 

 同じような理由で、Red Hot Chili Peppersジョン・フルシアンテも好きだった。好きなプレイは数えきれないくらいだけど、Wet SandやDon’t forget meの強烈なリード、Snow(Hey Oh)やScar Tissue、Soul To Squeezeで聴ける繊細なプレイ、OthersideとかHeyも好きだった。全部ストラトでしか出せない音(なんて言って、別のギターでレコーディングしてるかもしれないけど)。

 

 ***

 

 見た目で言えば、ボディもピックガードも白で統一されたものが好きだ。

 

 ここまでに挙げた3人も使うことがあったけど、パッと頭に浮かぶのはZAZEN BOYSカシオマン。白かクリームか判然としないけど、白いストラトを高めに構えて、時に冷静に、時に踊りながら、多種多様なフレーズを弾く。Friday NightやWeekendで聴ける、線が細くノイジーなギターソロがとても好き。

 

 そんなかれらに憧れて買ったギターはもちろん白のストラトキャスター。アームは常につけっぱなし。たとえ、使わなくても。抱えるだけでなんだかいい気分になれる見た目のギターを見つけて、その後自分のものに出来たのは結構上出来だったと思う。全然弾けるようにならないことを除いては。

 

 ***

 

 エレキギターの種類と、それを取り巻くギタリスト、どんな音に魅力を感じるかは、エレキギター愛する人の数だけ組み合わせがあると思う。もしかしたら、ギターそのものへの愛着はなかったけど、そこに付随する思い出がいとおしくて特別な存在になっていることも、あるのかもしれない。

 

 今度誰かギターを弾ける人に会ったら、あらためて愛用してるギターの魅力を聞いてみたい。なんか面白い話が出てくるかもしれない。

 

f:id:ogaki375:20220129223201j:plain