あなたの10年どうだった? vol.1 - 前編

彼と出会ったのはいつだったかな。

少なくとも、もうずいぶんと前だったはず。なんでかって、こんなに身近に感じるようになるのに、すごい時間がかかったから。

別にさ、気が合わなかったわけじゃないの。何年か前に初めて会った時だって、半日くらい秋葉原とか上野のあたりをぶらぶらしてたくらい。足が棒になるくらい歩いたけど、なんか話すことが尽きなかった。けれど、次に会ったのはそれからずいぶんと時間が経ってからだった。

久々に会うようになった彼は、あの頃と変わらず気さくに接してくれた。けれども、のんびりと笑い話をし合う中で、時々挟んでくる達観した考え方が気になった。ああ、思い出した。初めて会った頃もこうだったかな。短絡的な結論を避ける割に、どうにもならないことは素直に受け止める姿勢。暖かさがあふれながら、どこか獰猛なシニカルさも感じる。


彼のこの性格は、どんな風に彼をここまで導いてきたのだろう?


そんな思いを胸に、彼にここ10年間の出来事を語ってもらった。

 

▼10年前
 アプリで初めて好きになった人と出会う。
 仕事で副店長になる。

▼9年前
 会社が倒産する。別の人と付き合う。

▼8年前
 ヒモ生活。転職して別れる。

▼7年前
 今までで一番顔が良い人と遊ぶ。
 学歴的に今まで一番頭の良い人と付き合う。
 初めて一人でレイトショーを観る。

▼6年前
 専門学校に通い始める。
 TRPに行く。
 初めて二丁目に行く。

▼5年前
 シンゴジラ
 今までで一番好きだった人と付き合う。
 一人で水族館に通う。

▼4年前
 病んで学校を中退する。愛犬が亡くなる。

▼3年前
 病み期から復活する。

▼2年前
 好きだった人と別れる。
 好きだった人の好きそうな物を探したり、展示会に行く。
 数年ぶりにアプリを再開する。
 好きだった人を引きずりながら告白してきた人と付き合ってみる。

▼1年前
 数年ぶりに一人で誕生日を過ごす。

 

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▼10年前 アプリで初めて好きになった人と出会う。仕事で副店長になる。


■アプリ始めたのが10年前くらいってこと?

―もう少し前かな。Gradarってわかる?ガラケーでまだ出来たやつ。


■懐かしいなあ。

―それがもうちょっと前くらいに出来ててね、使ってたの。


■この時の人は、会ってどれくらいで好きになったの?

―何回かね、ご飯食べに行ったりして…。なんかさ、高校生の頃に付き合ってた人もいたけど、高校生の頃だからさ、こう「彼氏がいる自分が好き」みたいなのがあったのかもしれなくてさ。「みんな恋人いるから自分も作りたい!」みたいなので、彼氏を作ってたんだろうけど…。

 働き始めて、アプリも始めて、その人と会って、自分から初めて「あ、この人いいな~」ってなったなあ。


■「誰かを好きな自分!」とかじゃなくて、ちゃんと自分からその人が好きになれたんだね。

―そういう感じだったかな。


■付き合ったりはなかったの?

―なかったね~。なんだろうね、3つ4つ上の人だったんだけど、なんか…お兄さんに見えたの。いろんなところに連れてってくれて…、カラオケも行ったし、ゲイの人たちで遊びましょう!って場にも連れてってくれたし。こっちの業界のことをいろいろ教えてくれたっていうか。


■そのつながりで友達とか出来たりした?

―いや、出来なかった!(笑)


■じゃあ、社会科見学だ。

―そう、社会科見学だった(笑)


■そんなに何回も遊んだのに付き合えなかったんだ?

―好きだけど違うなって感じたことない?好きだけど、たぶん付き合えないんだろうな~っていう。


■好きと付き合うって、また違うところにあるよね。

―また違うよね。告白とかもしなかった。

 その人もその人で、誰かと付き合うって感じではなかったし、それがまた居心地がいい感じだったのかもしれないし。甘えるなら甘えてもいいし、することは…するし(笑)だけど、付き合うって感じにはならないのが、たぶん居心地がよかったのかな…。当時は、「付き合えたらいいな、でも付き合えないだろうな」って感じだった。


■そういう感じも、当時からなんとなく分かってたんだ。

―うん。この人、多分誰かと付き合うって感じではないのかなって思った。

 去年かな、その頃ぶりに再会して。それで、会ってなかった10年くらいの話を聞いても、なんか2、3人と付き合ったけど、みんな3ヶ月くらいで別れたって言ってて…「あ~やっぱりね!」って(笑)


■じゃあキミだけじゃなくて、誰とも付き合う気になれなかったのかも?

―たぶんそうかもしれない。でもその人もその人で、学生時代にすごい好きだった人が居たって言ってたから、そういう経験もあってからじゃないかなって。


■忘れられない人がいるのかもね。

―いるのかもしれない。


■その人、なんか寂しそうな感じはあった?

―あったね。なんだろう…価値観とか考え方が明るいわけではないの。いろんなことに悩んじゃったりして。だけど、いろんなことに悩んだり繊細なところがあるからか、周りには友達が結構いて。で、俺は全然友達がいなくて(笑)そういうところに惹かれたのかなあ。

 10年ぶりに会っても全然変わってなくて、なんか…かわいいなって思った(笑)


■その時も好きだなって思えた?

―思えたし、かわいいなって思ってた。俺って好きなものは、なんでもかわいいと思ってるから(笑)


■なんでまた会おうってなれたの?

―この人が、アプリで見つけてきたんだよ。自分がアプリやってる時期はそんなに多くないから、よく見つけてきたねって思った。


■それからは?1回遊んだきり?

―連絡は取り合ってるよ。こないだ誕生日だったから「おめでとう~」ってライン送って、ご飯誘ったし。


■ちょっとずついい関係に近づいてるのかもね。

―ね!


■あと、仕事で副店長になるってあるけど…。当時どんな仕事してたの?

洋服屋さんだった。アパレル屋さん。


■まだ年数的には全然だったのでは?

―そのお店に入って、何人か先輩がいたんだけど、先輩たちがダダダっと辞めていって、結局「じゃあ俺が副店長にならないといけないんですかそれ…」って感じだった。


■じゃあうれしかったわけじゃないんだ。

―うれしかったわけじゃない!(キッパリ)


■お給料増えたん?

―一応手当は出たけど…たいしたことなくて。シフト作るのが一番イヤだった…。


■年齢的に自分より上の人もたくさん居そうだしね。

―だから、仕事のことは全部聞いてた。周りにいた、同じ業界で職歴が長い人とかにね。その人は立場は俺より下なんだろうけど、関係なく全部聞いてた。


■じゃあ、周りを頼ってく系のマネージャーみたいな立ち回り?

―うん、そういう感じ。わかんないもん(笑)

 

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▼9年前 会社が倒産する。別の人と付き合う。


■副店長になって頑張ってたけど…倒産すると。

―入った頃から「うちの会社ヤバいよ!」っていろんな人に言われてて(笑)、大丈夫かなあって思ってたら本当に倒産したの。社名を変えて立て直しをするところで、売り上げが悪いお店を潰していこうってなって、俺はその閉店作業をする人だった。それで、完全に別の会社の名前になったときに退職したの。


■新しい会社にはどうして行かなかったの?

―なんか女性用小物の会社になるみたいで、全然興味持てなかった(笑)


■辞めた後はどうしてたの?

―工場内のピッキング作業とか、派遣で日払いの仕事とかしてたかな。なんか他のことするかな~って、ちまちま働いてた。


■この頃に付き合った人がいたんだね。アプリで出会ったの?

―うん、そう。アプリで出会った人だね。

 

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▼8年前 ヒモ生活。転職して別れる。


■その人がヒモ生活させてくれた人?

―そうそう。


■ヒモ生活ってどんな暮らしだったの?

―この人の家が当時のうちから1駅とかでさ。毎日行ってた(笑)


■じゃあ転がり込んでたって言うより、近所だからすごい頻度で遊びに行ってたって感じ?

―そうそう。週5で居た(笑)んで、たまに実家に帰って、荷物を持ってみたいな(笑)


■え~!楽しいじゃん!

―一応その間も派遣の仕事はしてたんだけど…、うっとうしかったろうね(笑)


■それは付き合ってた人の方が?

―付き合ってた人が。うっとうしいだろうなって、いつも思ってた(笑)


■「いつも一緒に居れてうれしい~」みたいな感じにはならなかったの?

―なんかね、最初はそんな感じだったんだけど、その人がパチンコにハマっちゃったんだよね。その人は普通に仕事してるからさ、お休みの日を合わせてお出かけしよって言ったら、パチンコに連れてかれて、5,000円ポンって渡されて「これで遊んでおいて」って解散みたいな(笑)


■それデートなの?(笑)

―ね(笑)


■それでも好きだったんだ?

―好きだったのかな…。付き合ってたから一緒に居ただけかもしれないし…。でも、一度「パチンコもうやだー!」って言ったら、すごいケンカになった(笑)


■家にはほとんどおらんかったわけだけど、家族は何も言ってこなかったの?

―確かお姉ちゃんに「お前、彼氏できただろ」って言われて、俺も普通に「うん、できた」って言う感じで、お姉ちゃんには最初にバレた。


■ん?ゲイであること自体も?

―そうそう。で、母親とお姉ちゃんとご飯食べてたら、お姉ちゃんに「お前最近彼氏とどうなの?」って。母親も「は?」って顔はしたんだけど、「まあそうだろうなって思った」という反応で(笑)


■すごいアウティングだ。

―そう、バラされた(笑)


■特に怒ったりしなかったの?

―しなかったね。自分もなんだろ、特に隠してたりもなかったし。普通に「うん」って感じだった。


■その人とは、転職して別れるってあるけど。

―うん、仕事を始めて、会える機会が少なくなって。たぶん向こうは、ほぼ毎日会ってた頃はうっとうしいって思いながらも、その生活が本当はよかったのかもしれない。「次いつ会える?いつ?」って連絡は来るんだけど、次の仕事も洋服屋さんだったから休みが合わなくて、どんどん会えなくなって。

 それでさ、久しぶりにおうちに遊びに行ったら、全然知らない銘柄のタバコの吸い殻があって。「おや~?」って思ったけど、まあ誰か遊びに来たのかなって。んで、お泊りするってなって、充電器借りようとしたら、お互いAndroidなのに、iPhoneの充電器があって。「おやおや~???」って(笑)

 全然追及とかはしなかったけど、そっか…って。それだけじゃないんだけど、いろいろと折り合いがうまくつかなくなって、最終的には別れちゃったね。


■別れる時まで好きだった?

―う~ん、申し訳ないけど惰性的なところはあった。向こうもちょいちょい地雷を踏むって言うか、当時家族がうまくいってなくて、その話をその人にしたら「興味ないからヤダ」って言われて。その時はショックだったね。


■惰性で付き合ってても、他の人がいるんだなって思ったときはイヤだったわけ?

―イヤだったって言うか、なんなんだろうね。あんまり悲しくもなくて、そっか…って感じだったかな。


■諦め?

―諦めかな。終わるんだな…って。

 

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▼7年前 今までで一番顔が良い人と遊ぶ。学歴的に今まで一番頭の良い人と付き合う。初めて一人でレイトショーを観る。


■今まで一番顔が良い人と遊ぶって言うのは…いわゆるイケメン的な?

―イケメンだった。それはもうイケメンでした。


■どんな系統?

―嵐の相葉くんみたいな。


■そりゃ~イケメンだ。

―かわいいでしょ。本当に似てた…うへへ(笑)


■そういう人もいけるんだ。

―でもね、俺のタイプってさ、モテない人なの。すごいパヤパヤしてて、みんなにモテるって人よりかは、「この人なんかめんどくさいこと考えてる…かわいい」みたいな人が好きなの(笑)


■あれま。じゃあ、その人とはこんなにカッコいい人と遊べるとは!って感じで接してたの?

―別に、顔だけで会ってたわけじゃないよ?(笑)

…ウソみたいな本当の話なんだけど、風呂屋でナンパされたの。


■マジで!?

―しかも地元のだよ!?地元のド田舎の風呂屋でボケーっとしてたら、こう手を握られて…、本当にあるんだって(笑)
 そのまま露天風呂にあったテレビを15分くらいお互い黙って観てて、一緒に上がって服とか着ながら「アプリとかやってるの?」って聞いたら、「何もやってない」って。ほぼノンケの人だった。あっ、ノンケ生活って本当にあるんだって(笑)

 その人は、もともと男性が好きなんだけど、出会い方を知らなかったっていう。アプリとか掲示板の存在も知らなくて、二丁目に行くのはちょっと…って人が、たまたま風呂屋で出会ったのが俺で、手を握ってきたっていう。


■ミラクルじゃん…!

―ミラクルだよね。エモだよね。


■でもそれは何回か遊んで終わっちゃったの?

―うん。することはしたけどね(笑)


■付き合うとかにはならなかったんだ。

―やっぱり、ノンケっぽい感じだったね。付き合う付き合わないとか、愛情表現だったりとかが、どこかノンケっぽいのかなっていう、自分とのギャップがあったかな。「あ、この人本気で俺と結婚しようとしてるのかな」とか。

 たまたまさ、その人が出会いのツールを知らなかっただけで、自分に好意を寄せてくれているのであって、そのツールとかを知ったら俺じゃなくてもいいんじゃないかなって思ったし。あと、例のも漏れず、その人もまた面倒くさい性格だったからね(笑)


■束縛とか?

―束縛はなかったけど…。その時、その人も20代半ばだったんだけど、まあそういうツールを知らないで、初めて自分の性を理解してくれる人と出会ったら…、まあ暴走したよね。たぶんね、それがしんどかった(笑)


■次に、学歴が一番良かった人と付き合うってのは?

―えっとね、Jack'd!(笑)


■あ~、流行ってたね。

―でも全然ね、申し訳ないんだけど、彼が通ってた大学を全然知らなくてね(笑)
 うちに帰って、お姉ちゃんに話したら「○○大学じゃん!」って驚かれて。全然頭良い人って知らないで遊んでた(笑)


■その人とは付き合ったんだ。

―付き合ったね。なんで付き合ったのかな…って言ったらアレか(笑)
 告白されたってのもあるし、その人も難しいこと考えてモテなそうだったし…(笑)


■その人はさっきの言い方で言うと、好きっていうより付き合うってフェーズに行けた人なんだね。

―そうだね。


■初めてレイトショーを一人で観るというのは?

―レイトショーはね…、いろんなものを吸収したい時だったんだと思う。「渇き」っていう映画を観たかったんだけど、一緒に観に行く友達がいなかったから、一人でレイトショーで行って…。でもね、映画そのものより、一人でレイトショーに行ったということが楽しかったの。

 映画が終わったらもう夜の12時近くで、お店も全然やってなくて、夜は真っ暗なんだけど、繁華街で飲み屋とかはやってて、全然人通りも少なくて…。そんな中を、一人で映画のこと考えてふらふら歩いてるのが楽しい。今でもたまにやるしね。


■おれもレイトショーは何回か行ったあるよ。なんだろう、普段の映画とは違う感じはあるよね。

―そう。なんか特別感があるよね。一人で夜のレイトショーってちょっと特別。寂しいのが好きな人にはオススメ。


■キミも寂しいのは好き?

―うん。後々の話なんだけどね、すごい好きだった人と別れた時にさ、幸せな瞬間がいっぱい続いてたから忘れてただけで、たぶん俺は寂しいのが好きな人なんだな。寂しいが普通なんだなって思った。自分の人生とか価値観とかは。

 

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▼6年前 専門学校に通い始める。TRPに行く。初めて二丁目に行く。


■専門学校に通い始めたんだね。

―前から興味があった分野の専門学校に行ったの。もともと接客の仕事をやってて、興味があった分野っていうのと、それって国家資格だから持ってたらいいなって。

 朝井リョウの「何者」で、ヒロインの女の子が名刺にいろんな肩書きをさ、びっしり書いてあるシーンがあったじゃん。たぶんね、あの子に近い感覚があったの。肩書きとかでさ、何者かになってみたかったのかなって。学歴のコンプレックスも当時あったし…、付き合ってた人も頭良い人だったし。何者かになりたかったんだと思う。


■その時、仕事は辞めたの?

―その頃は、今もやってる仕事なんだけど、学校行くって言ったら、学生バイトにして週1とか月1でもいいから、在籍してなよって言ってくれて。


■じゃあ、仕事はバイトくらいにして、勉強に力を入れてと。

―うん。奨学金も借りてね。


■一度働いたけど、また勉強する機会が出来たんだね。

―過去に進学できなかったから、働いてお金を貯めて、タイミングが来たら自分で勉強したいとも思ってたの。それで、入学金を払えるくらいになったから、その学校に入ったんだよね。


■専門学校に通い始めた頃に、TRPに行ってみたんだね。

―これは当時付き合ってた人と行ったの。彼がこういうのに強い関心を持ってた。でも俺としては、あまり面白くなかった…。


■それはなんでか話せる?

―なんだろうね…。自分はほわわわ~んなゲイで、ゲイって響きも使わなかったからね。人権だったりとかさ、認めてもらう意識とかさ、正直あんまり興味がなくってさ。当事者だからって、関心持たなきゃいけないわけじゃないと思うし。


■でもあの場ってさ、すごい盛り上がってるじゃん。自分だけ関心が持てないことへの孤独感はなかった?

―なかった(笑)
 自分は自分、他人は他人って。

 自分がさ、同性愛者だったり、LGBTQだってことが関係なく、自分がたとえ異性愛者でも、同性愛者でも、関係なく自分らしく生きていけられれば、一番いいのかもなって思ってたけど…。でも多分、それが出来ないから、そういうイベントがあるんだよね…。


■少なくともその当時、キミは十分自分らしくいられてたのかな。

―そうだと思う。けどなんか、こんな気持ちでいるのが申し訳ないなって思っちゃう。


■TRPへ参加するうえでの意識の面で、彼との温度差は気にならなかった?

―別にそれはなかったね。俺は誘われて「あ、いいよ~」って感じだったし、向こうも結構好きにさせてくれたから。


■この頃、二丁目にも行ったんだ?

―これも当時の彼と一緒で。そん時は大きい飲み会みたいなのに一緒に行ってみようってなって、2軒目に二丁目に行った。


■ゲイバーとかも行ったの?

―うん、初めて行った。


■行ってみてどうだった?

―面白い人たくさんいるなって(笑)
 今までこっちの人と会う時ってアプリが主流だったからさ、お酒飲んで深い話を大人数でするってのが初めてでさ、すごい楽しかった。常連さんが多かったから、物珍しくていろんな人が話しかけてくれて。


■二丁目にハマったりはしなかったの?

―ハマったりはしなかったね。ちょいちょい飲みに行くようにはなったかな。その時に出来た友達とかとね。


■この年、結構新しいところにたくさん行ったね。専門学校に通い始めて、新しい場所をいろいろ知って、友達も出来てきて。

―うん。楽しかった~。ま、でも彼とは二丁目行ってすぐくらいで別れちゃったけどね。


■あら、なんで別れちゃったの?

―忙しくなったんだよね。俺は仕事しながら学校行ってたし。


■前の人もそうだったけど、忙しくなっちゃうと離れちゃう傾向がある?

―あるのかもしれないね。
 あ、でもその人には浮気されてた(笑)


■浮気って、他の人を好きになってたってこと?それともセックスしてた?

―セックスしてた。3人くらいとされてた(笑)


■キミとしては許せないことだったの?

―当時はたぶん悲しかったね。

 今は…まあ、分からないようにしてくれればいいけどさ。大人になったけど、浮気ってヤるだけじゃなくてさ、本命では満たされない部分を補うためにするのかもしれないなって。だったらしょうがないのかな。でもバレないようにするんだよ…って、思うようになった。浮気がバレたら悲しいよ。


■自分で満たせないことがあるのは分かるけど、やっぱり分かっちゃうのはツラい?

―ツラいよね…。うん、ツラいかな…。


■付き合う前に浮気について話し合いたいと思う?

―機会があればするかな。自分から話しちゃうと、「あ、浮気する気かコイツ」って思われたらイヤじゃない?とにかく俺は、もう100%バレないようにするならいい…って感じ。


■仮に、自分にエッチもするような友達がいたら、そういうのはスパッと切る?

―関係を切りはしないけど、そういうことは「彼氏いるからしない!」って言うかな。

 浮気をさ、自分がたぶん出来ないタイプなんだよね。めんどくさいから。それでもって、俺はだいたいめんどくさい性格の人を好きになるから、付き合う人もめんどくさい人でさ、浮気するってなったら、その相手もだいたいめんどくさい人になるじゃん。めんどくさいの二重苦三重苦…耐えられない(笑)

 もし浮気するとしても、付き合ってる相手だけじゃなくて、浮気相手からも「あ、コイツ浮気する人なんだな」って思われるのがイヤだし。


■最初から相手が浮気するって分かってたら、付き合わない?

―たぶん、「この人のことすごい好きだな~」って思っても、「でもこの人浮気する人なんだな~」って俺は思っちゃうから、付き合えないかな。

 

▼後編へ続く

あなたの10年どうだった? vol.1 - 後編 - またっきろぐ (hatenablog.com)