ある早起きができた休日の記録

▼2021/11/27(Sat.)



 朝7時くらい、目を覚まして窓の外を見る。雲ひとつない晴れ模様みたいだ。

 

 朝方の柔らかい日差しのなかをジョギングすることが何よりの贅沢だと思っているので、すかさず起き上がってプロテインを振る。飲みながら、土日2日分の予定を紙に書き出す。決まった予定がない休日も、漫然と過ごさないようにスケジュールを組む。中身は前から楽しみでうずうずしていたことばかりなので、こういう時間はとても機嫌がいい。

 

 土日の動きがまとまったところで、Tシャツと短パンに着替えて筋トレ。YouTubeとか開きながらやろうとするから全然はかどらない。サジェストされるポケモンのダイパリメイクの実況動画が、だいたい自分の進度を追い越し始めている。なんか友達とストーリーの進度を競っていた小学生の頃みたいだ。

 

 外に出て、乾いたツンとした冷気を全身に浴びる。まだギリギリTシャツで行けそう。いつものコースを40分くらいかけて走る。空気がよく澄んでいる。高台の裾から見える景色、夏よりも少し遠く見えたかも。年明けに決まったライブのMCの話題を考えていたら、10分くらいは話せるボリュームになってしまった。



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 部屋に戻ってシャワーを浴びて、ひたすら家事をやっつける。洗濯機を回し、冷凍のサバを焼きつつ味噌汁を作り、食べる。食器を洗いきったところで、食器用洗剤が切れる。「買うの忘れそうやな」って思っていたところに荷物が届いて、早くも洗剤のことは意識の外へ。流していたPodcastのOver The Sunが盛り上がってきて、洗濯物を干しながら聞き入ってしまった。

 

 それから少しうたた寝をして、ノートとKindleをカバンに入れて駅前のドトールへ。最近、読んだ本の印象的なフレーズを書き写すことにハマっている。せっかく唸るような文章に出会っても、ただ読み過ごしているだけでは血肉にならないと思ったからだ。

 

 ここしばらく、とくに勉強したい資格とか、入れ込んでいる集団活動がない代わりに、知識を深めてみたいと思えるジャンルがいくつかある。自分の興味関心に忠実になって、知りたいことをひたすら掘りさげるのも、そこに衝動があるタイミングしか出来ないのかもしれないと思う。時間が有限である以上、どんな知識も早く得るに越したことはない。そして、得られた知識を生かせる体験があったとき、それは知恵に変わっていくのだろう。

 

 ちなみに、ノートを使うのは字の練習がてら。自分で自分好みの綺麗な字が書けるようになるのも、とっても重要な訓練。



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 集中力が切れた頃には、もう陽がどっぷりと暮れていた。ドトールを出て、いつもと違うスーパーへ。見慣れない品揃えに、財布の紐が緩みそうになる。朝食用のパンと、最近常備しているみかん、あとお菓子を少々買う。食器用洗剤を買い忘れる。

 

 部屋に戻って、夕食はレトルトのペペロンチーノで済ませる。前に買ったクレイジーガーリックをたっぷりと振る。思ったより使いどころのある調味料。洗剤を買い忘れたのでシンクに積んでおく。

 

 あつ森とポケモンをちょこちょこ進める。朝からやりかったのを我慢できた分、ここでも没頭。日付が変わる前には眠くなる。



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▼2021/11/28(Sun.)



 また朝7時頃に起きる。

 

 同じ早起きでも、今度はせっせと身支度をして、シンクに積まれた食器を横目に駅へ向かう。どっかで洗剤買わなきゃね。電車に乗り込んで、昨日は夜まで我慢してたゲームを始める。緊張感がない休日朝の通勤電車の雰囲気、いいね。

 

 渋谷駅に着いて、当日店頭予約しかしていないランチの予約へ行く。けれど、希望していた時間帯はもう埋まっているらしい。まだ8時半なのに。とぼとぼと引き返す。日が高くなりつつあるのに、渋谷の街には朝帰りを惜しんでいるらしい若者がいっぱいいた。派手な色のスニーカーを履いた子のじゃれ合い。ラブホ街をもったりと歩くカップル。掃除機用のコンセントからスマホの充電をしている人。みんなきちっとマスクをしていた。社会性。

 

 せっかく人が少ない時間帯なので、普段は混んでいるスクランブル交差点のTSUTAYAに入ってるスタバで時間をつぶす。とくに憧れがあった場所ではないけど、渋谷でカフェ難民になった数えきれない休日のことを思い出す。



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 TSUTAYAの営業が始まって、膨大なレンタルCDの在庫を冷やかしつつ地下鉄の駅へ。半蔵門線有楽町線と乗り継いで、友達との待ち合わせの新木場駅へ。

 

 ふたりでカメラを持って、新木場駅から東京湾ゲートブリッジまで歩いて向かう。ぺちゃくちゃ喋りながらも、ふと立ち止まってカメラを構える仕草がカッコいい。陽ざしがキラキラと反射する広い水路、コンクリートジャングルの狭間に揺れるススキ、遠くでゆっくりと回る風力発電。そんなものを、かれは見逃さない。

 

 駅から30分くらい歩いて、若洲公園に着いた。さんさんと注ぐ日差しを浴びながら、芝生に寝そべって写真を撮り合う。かれが今日持ってきたカメラは、最近出来た恋人から借りたものらしい。デレデレしててかわいい。「でも僕、飽きっぽいからな~」なんて言うてたけど、なんやかんやで真面目なパートナー観の話になる。どうにも大好きだから一緒に居たいけど、なかなか事情があってそうもいかないし、けれども話し合って合意点を見つけてやってるよとか、そんな話。いつの間にか、うちらもそんな話題が得意になったんだね。

 

 そういえば、今日ここに散歩に来たきっかけも、「お金そんなに使えないから、あんましかからない遊びがいいな!」って返事からだった。持ってる事情はそのままに、遊びたいって気持ちをそのまま伝えてくれたの、ラブい。



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 若洲公園からゲートブリッジの歩道までは、地上からエレベーターが用意されていた。とくにお金はかからないけど、警備員さんが愛想よく迎えてくれる。

 

 車道は一般道路としてクルマが行き交っているけれど、歩道はエレベーターでないとアプローチ出来ないうえに、対岸には柵があって降りれないようになっていた。すなわち、どこかへ行くための道路でなく、完全に観光資源として扱われている。

 

 ふと、お金を払っていないのに歓迎されるとか、どこにも行けない道路を珍しがるとか、そういった感覚に少し戸惑いを感じた。なんだろう。そこにはただ親切な警備員さんが居て、眺望のためにその場所が開かれているだけなんだけど。ただそう受け取ればいいのに、普段意味ありげな物事ばかりに触れすぎているのだろうか。「物語のなかに拳銃が出てきたら、それは発射されなくてはならない」なんて世界を、自分は生きているわけじゃないのだけど。



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 ゲートブリッジを往復して、ふたたび愛想のいい警備員さんに見送られて地上に降りる。風に吹きつけられて、すっかり髪がボサボサになった。おれは誰かに写真を撮ってもらうとき、なぜだか風がつよく吹いている場面ばかりな気がする。

 

 すっかり陽が暮れ始めてきた。オレンジ色の夕日が原っぱに反射して、草の先がきらきらと光っている。雲のない空はオレンジと藍色のグラデーションになって、羽田空港を発った飛行機がポツリと浮かび、やがて消えていく。

 

 共通の友だちの話題になったので、夕景をバックにビデオ通話をつなげた。昼寝してるところだった失礼。それでも快く付き合ってくれて、飼っているワンちゃんまで呼んでくれた。うれしくなってカメラの前で踊る。iPodを落として、通りかかったワンちゃん連れが拾ってくれた。はずかしい。愛犬家に悪いひとはいないね。母数が小さいのは気にしない。

 

 日没とともにカメラの充電も切れて、寒い手をこすりながらバス乗り場へ向かう。帰りのバスでは、クリスマスの過ごし方について真剣に議論してから、さっきの友だちも含めての忘年会の日程を調整した。今日会ったのが夏ぶりなのに、今度はすぐ後の予定を調整しているなんてね。思えばもう何年間も、こういう付き合い方を積み重ねてきた。



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また洗剤買い忘れた…。