おなじ話
どこにいるの? 君のそばにいるよ
何を見てるの? 君のこと見てるよ
どこへ行くの? どこへも行かないよ
…… ずっとそばにいるよ
それから 僕も君を見つめ
それから いつもおなじ話
おなじ話 / ハンバートハンバート
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「誰かが前にも聞いた話をしてきたら、それはきっと大切な話題なんだよ」
こんな考え方に触れてからというもの、仲のいい人が一度話してくれた話題をふたたび繰り出してくる瞬間が、たまらなく好きになった。この人にとって大切なことを、または話したくて仕方ないことを、自分に惜しげもなく出してくれてるんだなって思えるようになって。
もちろん、ただ聞くだけでは芸がないので、そんなときは前と違う切り口で話が進むように相槌を打ったりする。すると、物事のディテールとか、相手が関心を抱くポイントとかが、より深く理解出来て、なんだかその人の見ている視野に近づけたような感覚になる。誰かがうんうん思考したトピックを、1度きりの会話で消費してしまうのは、なんだかもったいない。
そんなもんだから、「その話、前にもしていたよ」なんてフレーズは、自分のなかで禁句になった。前からこのフレーズを出すと、なんか微妙な空気が流れるから使いたくなかった。そりゃそうか、ただの気づきじゃなくて、大切な話を沈黙に化かしてしまう即死魔法だもんね。
また、自分が話すときも「前にも話したかもだけど~」という断りも、言いかえるようにしている。「大事なことだから、もう1回話したいんだけど~」「こないだ話したこと、まだ続きがあってさ」なんて言って、相手のうんざり感をケア出来たらなと思っている。いやまあ、素で忘れてることもあるんだろうけど。
そういえば、いつもニコニコ話を聴いてくれる人は、「ああ、○○の話ね。それでそれで?」なんて言って、話したこと自体はちゃんと覚えてくれつつも、もう一度同じ話題を楽しんでくれようとする。なんだかちょっと照れくさいけど、手を変え品を変え、おもしろい話ができたらなって思う。気ぃ使いすぎ?いやいや、話してる自分も楽しくないからさ。逆に、同じ話でも、味付け次第では何回だって楽しめると思ってるよ?
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なんか、この話もう一回しそうだな。